linear_s.jpg

リニアアンプ(7,14MHz)
グランデッドグリッド型3極管811A 3パラ
  出力 600W

2013/11/11
JE3PRM (WE3PRM)
Shingo Takimoto

最近の電子機器はCPU,DSP,ADCなどのICを使っており、自作する場合非常に細かい作業となります。 またプログラム作成が必要な場合が多くなっています。 これはこれで興味深いのですが、こればかりですと多少のフラストレーションがたまってきます。 つまり自作の楽しみ(目で成果が見える)が少ないように感じます。 そこで昔よく使った真空管でリニアを作ってみました。 回路はそれほど難しくなく、真空管は仕様のバラつきも少なく、回路に再現性があるのでほぼ間違いなく動きます。 ただしシャーシ作りにはかなりの時間がかかりますが、日曜大工的な楽しさがあります。 部品はネットでほとんどのものが手に入りました。 トランスはネットで特注です。 どうしても見つからなかったのは811Aのプレートキャップで、仕方なく文具用の金属クリップを流用しました。 

linear.jpg

回路は下図の通りです。 回路設計の参考資料としては、古い出版ですが昭和47年初版 CQ出版社の「リニアアンプハンドブック」がはあります。 またネット上に米国での例として "How to Build the DX-811A All-Band Linear Amplifier CQ Magazine September 1982 by F.T. MARCELLINO, W3BYM"があります。 入力にはQの小さいπマッチを入れました。 これがないとトランジスタ出力のこの頃のトランシーバの出力とマッチングが取れないので必須と考えます。 ただし実際の調整では入力のCは不要でした。 出力のタンクコイルは直径80mm程で2mmの銅銭を使用しました。 1KWだと銅パイプが必要ですが、600Wですから、この程度で問題ありませんでした。 インダクタンスは、Q=15とし、811Aの出力インピーダンスから計算し、3.2μH(7M)、1.6μH(14M)としました。 プレート電圧は1400Vです。
diagram.jpg
回路はトラブルなく、計算通り正常に動きました。 歪みなどのチェックはオシロスコープと2信号発生器(PCのフリーソフトを使用)でも行いましたが、有用だったのは、SDRです。 これで自分のSSB信号をメモリに格納し、実際の音声で色々実験できマイクレベル、トランシーバの出力レベル、トランシーバのDSPの設定が適切に行うことができました。  回路は順調に動いたのですが、かなり苦労したのが意外にもファンです。 つまりファンの音がうるさすぎるというものです。 これは一般にもリニアの大きな問題です。  解決の結論としては、PC用の超静寂ファンを2個使用し、それをいったん木材のフレームで受け、それをシャーシに固定して、ほとんどファンの音は聞こえなくなりました。 しかしファン内部のコントロール部分にRF出力が混入し、パワーを上げるとファンが止まってしまいました。 フィルタなどで軽減しましたが、連続波400W程度で止まり、完全ではないままであきらめました。 ただし、実際のSSBなどでは連続して最大パワーとなる事はなく、通常は問題ありません。


top   Home page